お話づくりはどこかパンづくりにも似ていると思うのです。
厳選された材料を大切にねかせ、おいしくふくらます──
暮らしの中で出会った感動を、手づくりで焼き上げ、多くの人と分かち合いたい。
そんな願いから生まれた「アンデルセンのメルヘン大賞」です。

アンデルセンのメルヘン大賞は、創業35周年の記念事業として1983年に創設した公募の童話大賞です。
当時、物は充足してきた一方で、心のゆとりがない時代において、どのようなことがお客様の暮らしを豊かにすることにつながるのか…。店名の由来になっているデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが童話を通じて世界中の子どもたちに夢や希望の灯をともしたように、私たちもお客様と「童話」を通じて夢と希望を分かち合いたいと願い、創設に至りました。
選考委員長には第1回より、立原えりか先生に、また選考委員には毎回画風の異なるプロの画家・イラストレーターに務めていただき、「自分がこの童話の挿絵を描きたい」と思うものを受賞作品として選びます。そして想像を膨らませて描いた挿絵と受賞者の童話を「アンデルセンのメルヘン文庫」という1冊の絵本として刊行するという独自の取り組みで、創作童話の世界を豊かに広げています。

最新刊 第39回 アンデルセンのメルヘン文庫

  • 一般部門 大賞

    「きみの知らない花」

    • 作: はまぐり まこと
    • 選考・作画: 矢島 眞澄

    「桜の花を見たい」と言うセミの望みを叶えてあげたいテントウムシはチョウに相談する。チョウは「来年の春まで咲かない」と話す。セミは桜の花を咲かせようと、テントウムシ達に桜の葉を食べてもらうが、叶わないと分かる。飛ぶ力も失ったセミの目の前で、突然満開の桜の花が咲く。それはたくさんのチョウ達。花びらが散るように羽ばたいていく。

    作品の冒頭をご覧いただけます
     ※作品、及び当サイトの掲載画像の引用、転載、複製はご遠慮ください。

  • 一般部門 優秀賞

    「黄色いふとん」

    • 作: 川嶋 ふみこ
    • 選考・作画: 塩田 雅紀

    ベランダに干されたお父さんの青い布団、お母さんのピンクの布団、幼稚園へ通うタン君の黄色い布団。青とピンクの布団はすぐにお昼寝。眠くない黄色い布団はスズメやカラスに話しかけるが、みんな去ってしまう。迷子のイチョウの葉っぱと友達になるが、風で飛んでいく。黄色い布団が泣いていると、カラスが「みんなそれぞれ役目がある」と励ます。

  • 一般部門 優秀賞

    「日暮れの往診」

    • 作: 鹿倉 裕子
    • 選考・作画: 五島 聡

    山の診療所。診察を終えた医者が晩酌をしていると「子どもの具合が悪いので往診してほしい」と床屋の主人が来る。医者は酔い覚ましに歩いて村外れの床屋へ。いつもの床屋と様子が違う気もするが、子どもを診察する。夏祭りのポンポコ踊りの練習でお腹を叩き過ぎたのだった。帰る医者がカーブミラーを見ると、見送るタヌキ夫婦の姿が映っていた。

  • 一般部門 優秀賞

    「はまなす写真館」

    • 作: つちや はるみ
    • 選考・作画: 小林 万希子

    小6のなぎさの祖母あてに古いハガキが届く。文面には「預かっている写真を取りに来て」とある。なぎさは祖母の代わりに海辺の写真館へ行くことに。はまなすの咲く浜辺の道で迷ってしまうが、白い犬が現れて道案内をしてくれる。たどり着いた写真館には花子という少女がいた。なぎさは花子と幼い祖母と白い犬が写った「モノクロ写真」を受け取る。

  • こども部門 大賞

    「まくらたちの長い夜」

    • 作: 若林 桜子
    • 選考・作画: 岡田 千晶

    僕は小3の桜子のまくら「サクマクラ」。桜子のママのまくらは「マママクラ」。夜9時、桜子が子猫のミルクを抱いてママと部屋に入って来る。桜子達もまくら達も眠りにつくが、桜子に足を乗せられたり、ママのいびきや桜子の寝言で眠れなくなるまくら達。さらに子猫がサクマクラに乗って寝てしまう。あきらめたサクマクラは、羊の数を数え始める。