お話づくりはどこかパンづくりにも似ていると思うのです。
厳選された材料を大切にねかせ、おいしくふくらます──
暮らしの中で出会った感動を、手づくりで焼き上げ、多くの人と分かち合いたい。
そんな願いから生まれた「アンデルセンのメルヘン大賞」です。

アンデルセンのメルヘン大賞は、創業35周年の記念事業として1983年に創設した公募の童話大賞です。
当時、物は充足してきた一方で、心のゆとりがない時代において、どのようなことがお客様の暮らしを豊かにすることにつながるのか…。店名の由来になっているデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが童話を通じて世界中の子どもたちに夢や希望の灯をともしたように、私たちもお客様と「童話」を通じて夢と希望を分かち合いたいと願い、創設に至りました。
選考委員長には第1回より、立原えりか先生に、また選考委員には毎回画風の異なるプロの画家・イラストレーターに務めていただき、「自分がこの童話の挿絵を描きたい」と思うものを受賞作品として選びます。そして想像を膨らませて描いた挿絵と受賞者の童話を「アンデルセンのメルヘン文庫」という1冊の絵本として刊行するという独自の取り組みで、創作童話の世界を豊かに広げています。

最新刊 第40回 アンデルセンのメルヘン文庫

  • 一般部門 大賞

    「しあわせの赤いセーター」

    • 作: しらたま
    • 選考・作画: 水口 理恵子

    赤いセーターはジミーのお気に入りになり、幸せな毎日を過ごす。そして、弟のティミーにセーターが引き継がれる。色あせたセーターはバザーに出され、女の子サリーの元に。やがて古くなったセーターは、帽子や手袋などに編みなおされる。月日が流れ、再び小さな赤いセーターに編みなおされてツリーの飾りになり、思いがけずジミーと再会する。

    作品の冒頭をご覧いただけます
     ※作品、及び当サイトの掲載画像の引用、転載、複製はご遠慮ください。

    作品の朗読をお聞きいただけます。(9分10秒)
    朗読:廣瀬桃子
    2023年4月2日授賞式会場での朗読
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  • 一般部門 優秀賞

    「花と黒猫」

    • 作: 行橋 六葉
    • 選考・作画: 小池 アミイゴ

    黒猫の散歩コースにある白いマンションの出窓。黒猫は出窓に置かれた、一輪のオレンジ色の美しい花に気づく。花は黒猫に「みんな先に楽園へ行ってしまった」と話す。翌日も黒猫は花の話し相手になる。日ごとに、花は少しずつ花びらを落として姿を変え「時は残酷」とつぶやく。翌日、黒猫が出窓をのぞくと、何枚かの花びらだけが残っていた。

  • 一般部門 優秀賞

    「おもいだしや」

    • 作: 梶山 祥代
    • 選考・作画: 伊藤 彰剛

    高校生のマリモの前に、突然現れた店は“おもいだしや”。開店を知らせた象は「記憶に関する悩みを解決する店」だと言う。マリモはタイムカプセルから出てきた布のことが、思い出せないでいた。象が調合した“特製お出汁”を飲むと思い出す仕組みだが……。ようやくマリモは、幼稚園の頃におばあちゃんと交わした、秘密の約束を思い出す。

  • 一般部門 優秀賞

    「ただいま」

    • 作: 高田橋 昭一
    • 選考・作画: 卯月 みゆき

    夏の朝、目覚めたおばあさんは、カレンダーについている赤丸に気づく。「出発日、夜明けのバス」と書いてある。大切な日の印なのに何も思い出せない。おばあさんは愛犬のおこげを連れて出かけることに。バス停にはいろんな人が並び、みんなバスに乗り込む。バスを降りたおばあさんは、見慣れぬ街をさまよい歩く。やがて、一軒の家にたどり着く。

  • こども部門 大賞

    「マヤばあさんの花言葉タルト」

    • 作: 西田 都和
    • 選考・作画: わたなべ さとこ

    リスのマヤばあさんは森の中で、タルト屋を開いている。花と花言葉を添えてくれるタルトには不思議な力が。子ネコのミィナが、都会で働き始める姉に贈るタルトを注文する。マヤばあさんはオレンジのタルトに、花言葉が“門出”のスイートピーを添える。マヤばあさんは、パーティを開いてお客さんみんなに、タルトをふるまうことを思いつく。