アンデルセンファームの春 戻り雪と「苗半作」

広島県北広島町にあるアンデルセンファームは、アンデルセングループが直営する農場で、主にりんご3品種(紅玉、シナノゴールド、グラニースミス)やワイン用ぶどうを栽培しています。パンや自社オリジナルのワイン、シードル、ジュースなどにこれらの作物を活かし、「FROM SOIL TO TABLE」の理念を体現しています。

例年なら4月中旬には春を感じますが、今年は異例の寒気に見舞われ、雷を伴う雪が降り圃場は再び真っ白になりました。その後、天候は急変し、雪が降ったかと思うと快晴となり、最高気温が25℃近くまで上がりました。朝と日中で20℃以上の寒暖差があり、急激な気温変化によって作物だけでなく、作業者の健康管理にも注意が必要です。

今年は4月の寒さの影響で生育が遅れ、りんごの開花も例年より2週間ほど遅い5月初旬になりそうです。りんごは休眠中は-20℃にも耐えますが、芽が動き出すと耐寒性が低下し、-3℃で葉が傷み、開花期には-1℃でも障害が出ます。そのため、4月半ばからスプリンクラーによる防霜対策の準備も怠れません。

加えて、春は農業・建設機械の点検や電気柵の修復、剪定枝や金網の回収、ぶどうの雨よけシートの確認・修理など、春への切り替え作業が続きます。今年度は「苗半作」という言葉通り苗木育成にも注力し、支柱の固定や肥料・水やりを丁寧に行っています。自然相手の農業はイレギュラーが多いですが、一つひとつの作業を積み重ねながら、新たな一年の実りを願っています。