パンのある、心豊かな暮らしの提案。

Quality

アンデルセングループは、1948年8月に戦後間もない広島で誕生しました。日々食べるものも不足がちだった当時から、創業者 高木俊介は、ただ空腹を満たすだけではなく、「本物のおいしいパンを届けることで食事を楽しく、暮らしを少しでも豊かにしたい」と考え、素人の発想でさまざまな挑戦を重ねていきました。

~食卓に幸せを運ぶ~ 今も大切に受け継がれているアンデルセングループの創業の思いです。

創業者と、一つのパンとの出会い。

日本にパンを楽しむ文化を根づかせるためには、ただおいしいパンを焼くだけでなく、パンの源流や歴史を学び、その本質を伝える必要があると考えた創業者は、1959年に初の欧米視察に出かけます。プロペラ機を乗り継ぎ、アメリカとヨーロッパ各国を巡る約1カ月半にわたる長い旅の中、ある一つのパンと劇的な出会いを果たします。

それは、デンマーク・コペンハーゲンのホテルの朝食で食べたデニッシュペストリー。パン生地とバターの層が幾重にも折り重なったさっくりとした食感とおいしさに感動すると同時に、そのパンに何か“デンマークの豊かな暮らしの象徴”を感じた創業者は、日本での商品化に力を注ぎます。3年にわたる試行錯誤の末、1962年に日本で初めて商品化に成功。その後もデンマークから技術者を招聘するなど、よりおいしく、質の高いデニッシュペストリーを追求しました。

Hygge with Life

デニッシュペストリーの故郷、 デンマーク。

デニッシュペストリーの故郷、デンマーク。

お手本は、いつもデンマーク。

デニッシュペストリーとの出会いよりも先に、アンデルセングループとデンマークを結びつけた一冊の本があります。内村鑑三の著書「デンマルク国の話」です。戦争に敗れて肥沃な土地を失った国が、一人の指導者と国民の英知によって、荒地を緑地に変え、豊かな国を築いていく話に、終戦直後の混乱の中、生きる勇気を与えられた創業者は、デンマークという国に強い興味を抱きました。

そして、デニッシュペストリーに出会い、デンマークの人々との交流を重ねる中で、かねてより企業の優劣は規模の大小ではなく、商品の品質、社員の品位、店舗の品格、そしてそれを形作る会社のポリシーにあると考えていた創業者は、この国の人々のクオリティを大切にする心や、質実剛健な生き方に大きな共感を得たのでした。

自立、クオリティ、Hygge

子どもも大人も、しっかりとした意思を持って自分を表現できる自立した国民性。自分の生活のクオリティを高めることに積極的でありながら、決してたくさんのモノを持つ豊かさではなく、「本当によいモノを必要なだけ」を重視する生き方の姿勢。そして、デンマークの精神的な豊かさを象徴するHygge。それは、北欧の暗くて長い、憂鬱な冬を少しでも心豊かに過ごそうとする中で自然と育まれた生き方、暮らしの感性のようなもの。日常のすみずみにある身近な幸せを見つけ、それを喜びとし、家族や仲間とともに過ごす時間を心から大切にする姿に、デンマークへの思いをますます強くしていったのでした。

from Denmark

次の時代に向かって 新たな挑戦。

to Hiroshima

グループの旗艦店、広島アンデルセン。

デンマークとの出会いから8年後の1967年、「食卓に幸せを運ぶ」という創業の思いを具現化したお店がオープンします。広島アンデルセンです。もとは1925年に銀行として建てられ、1945年の被爆後も修復して使われていたルネッサンス様式の建物を、パンを楽しむ食文化を発信するにふさわしい舞台として活用することを決めます。そして、パンを中心にデリカテッセン、ミート、ワイン、フラワー、レストランまでを揃えたベーカリーが誕生しました。 「アンデルセン」という店名には、デンマークの童話作家 ハンス・クリスチャン・アンデルセンが童話を通じて世界中の人たちに夢や希望を与えたように、パンのある食卓を通じて幸せを届けたいという願いを込めています。この広島アンデルセンを旗艦店とし、古いものを磨き育てるという伝統を継承する一方で、常に新しさに挑戦する真の”クオリティベーカリー“を目指して活動を続けています。

with Hygge

デンマークへの里帰り

創業60年を迎えた2008年、これまでの友好に対する感謝の気持ちを伝えたい、日本で育んできたデニッシュペストリーを里帰りさせデンマークの人々に味わっていただきたい、との思いからデンマーク・コペンハーゲンに「アンデルセン」を出店。そこでアンデルセングループのデニッシュペストリーは予想外の評価を受けることになります。「昔ながらのデニッシュペストリーだ」と。

1959年にデンマークで出会い、学んだ製法を受け継ぎながらそのおいしさに磨きをかけてきたデニッシュペストリー。それが、本国においても伝統的な製法とおいしさを守り続けていると評されるクオリティに達していたことは、驚きとともに心から喜びを感じる出来事でした。

現在は、コペンハーゲン市内の住宅街にイスランズブリュッゲ店を運営。パンの材料にオーガニックを使用し、クオリティを大切にするベーカリーとして、多くの人に親しまれています。

歴史を受け継ぎ、新たな一歩を

1967年のオープンから50余年。その間、広島のお客様に親しまれ、育てていただきながらパン文化を発信してきた広島アンデルセンでしたが、被爆した建物の老朽化は著しく、2016年に旧建物での営業を終了。建て替えを経て、2020年8月に再び本通に帰ってきました。新しい広島アンデルセンのコンセプトは、「Shun Andersen! 土から、今日も、実る。」創業者 高木俊介の思いを受け継ぎながら、自然の実りであるパンの可能性をもっと追い求めたい。パンのある幸せな食卓を描いて、そのときどきの旬なおいしさ、楽しさをお届けしたいと考えました。

その象徴として誕生したパンが、「the Bread(ザ ブレッド)」です。1975年から大切に受け継いできた広島アンデルセンの自家製発酵種をもとに、「アンデルセン芸北100年農場」と「アンデルセン デンマーク店」に所縁がある発酵種を掛け合わせ、焼き上げたパン。 創業以来、変わることのない思いを込めて焼きあげるこれらのパンが、お客様の食卓にどんな幸せをお届けできるだろうか?

~食卓に幸せを運ぶ~ その実現に向けて、今日も一つひとつのパンを大切に焼きつづけます。