芸北の秋は駆け足で過ぎ、11月初旬には霜が降り、紅葉は一気に色づいて落葉へと向かいました。19日には初雪が舞い、寒さは本格化しています。10月中旬に蒔いた小麦は芽吹き、12月下旬からの積雪の下で約3か月、春を待ちながら静かに力を蓄えます。寒く痩せた土地に強い特性を持つライ麦の試験栽培も始動しました。このあたりでは小麦より適性が高く、来年7月の収穫からサワー種を起こし、農場産ライ麦パン「ロブロ」への展開を見据えています。
農場内では、自然薯の収穫を朝食で楽しみ、春先に放流し池で育てたアマゴは水を抜いて捕獲・加工し、集まりの場で味わう準備を進めました。小粒の「日本山梨」は豊作で、ジャムやコンポート、パウンドケーキとして秋の恵みを満喫しました。作業は冬支度へと移り、玉ねぎ苗の定植、ブルーベリーの冬囲い、電気牧柵の回収、研修所の落ち葉の回収、休憩棟デッキの塗装など、来季に向けた備えを進めています。
今年の春に入校した高木俊介製パン学校の研修生は、半年で共同生活を通じた変化が見られます。初期には互いの課題が先に浮かび上がり、関係性に少し距離感が生じる場面もありましたが、長く時間を共有する中でよい面も見えるようになり、関わり方に変化が生じています。見解の相違は、相手への思案を促し、自ら考え行動する契機となっています。画一的な価値観が通用しにくい時代にあって、守るべきを守りながら「正解が一つではない」という前提で、それぞれの個性を伸ばす環境づくりが重視されています。霜と雪の間で根を張る作物のように、研修生の力も静かに、確かに育っています。






